な言辞ととがめるのを、いかにも頭のするどい実証主義の態度のように思いがあり、満座の中で、私の慌骨をいましめる、先生の顔を見上げるうちに、私はこんな先生の教えを受けることが、芯からいやになった。また私が不快な顔をしていたのを、慰める若い先生や先輩たちは、口を揃えて、「建部先生は数理に関しては、異常に明敏であるから」といっていた。そんな数理、そんな実証主義は、犬に喰わせろである、と思っていた私は、先生を軽蔑する気持ちになってしまった。私は、その晩に、岩本樓に泊まり、次の日に、対岸の片瀬の海
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