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た、江戸時代の流行の船金庫であったのであろう。この倉庫の一番下の段の奥行の長い引き出しを引きぬいて、そのなかに手を差し入れ、背まで深くさし込むと、奥の右の方に穴のように空いている空間がある。その中に、桐で造った小箱が納めてある。高さ四寸⁽⁴⁾、縦三寸五分⁽⁵⁾、横三寸位⁽⁶⁾である。その中に、一杯金の小判が入れてあるとしたら、どのぐらいの金額になるのか、想像できることである。
私の家の仏壇の下の船箪笥の中の小箱の中にも、小判が一杯つまっていた。侍の家から嫁入りしてきた私の祖母が、この小箱のことを知らなかったの
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