気骨のおれる数年を送った。
私が彼女に心惹かれていたのは、その美貌のためでもあったが、その弱々しい、可憐にして、従順な人となりのためでもあった。私らの青年のころまでは、日本の男性を惹きつけた女性は、何よりも美貌とそんなか弱い女らしさの持ち主であった。
従順で弱々しく、それで美しい女性は、男のよい玩弄物としての見方からであり、生きた人形として見るに過ぎないという考え方が、しだいに日本に普及してきたが、けれどもか弱い従順な、美しい女の涙の力が、弱い男にどんなことでも
P68