ために、私は新婚生活の数年あまり、生家からほとんど勘当の状態にあった。
母の叔母にあたる、湯之本の老婆は、私の生家が、彼女の生家でもあったので、絶えず私の家に往来し、私の家の内政に対しても、ほとんど支配的な力をもっていた。わたしの祖母が、まったく従順な女であったし、祖母からいえば、湯之本の老婆は、主人の妹であり、小姑である。父母からいえば、叔母である。祖父が早く死亡し、父も長い間いなかった私の生家では、湯之本の老婆が、独り天下のように、支配していたのは、当然でもあったろう。私の兄は、この老婆の主張