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 だから私の郷里はどこかと聞かれても、ただちには答えにくいのである。壱岐、対馬、桑名、そして東京、そのいずれも郷里を意味するものの、いくぶんかが存している。しかし明らかに、この外にはない。長い間、住んだところほど、その土地への思い出も、関係も多いはずであるから、長く住んだところを、郷里に結びつけて考えるなら、私が今まで、長く住んだ土地を、長い順にならべてみると、岐阜十九年、札幌十一年、壱岐十年、東京十年(三回に)、対馬九年、京城四年、京都二年、伊豆二年と

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