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いう話は、よほど身に沁みて怖かった。しかし、その時、母も大砲の音が、大海戦の音だということは、むろん知らなかったし、当時、軍艦の実弾射撃の演習は、よく行われていた。しかし、その日の砲声は、ことのほかに大きく、またつづけざまに響いた。

 その次の日か、さらにその次の日かは、大暴風雨であったが、学校の玄関に大海戦があったことが、軍艦の隊列の図面とともに、大きく掲示された。

 由来、壱岐、対馬の近海は、大昔から外敵に荒らされることが多かった。大陸の民族によって闖入され、略奪された例は、蒙古の場合以外にも、まだ何度かあることは、史実にも明らかである。二度の朝鮮征伐のときの最前線基地となったことも明らかであって、倭寇がこのあたりからでていたことも確か

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