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は、決してなかった。父の生家あたりが、侍屋敷という地名で呼ばれていたのは、おそらく松平楽翁〔定信〕公のお国替えに随伴して、奥州白川から、大挙して桑名に来伝したときに、急造された侍屋敷であったのであろう。

妻の父の兄の家を、私がはじめて訪ねたのは、大正の末年頃であったと思うが、この妻の伯父の家は、わが屋敷とは別にあった一郡のわが屋敷の中にあったが、杉垣にめぐらされた、門もない小さな二か三の板葺き⁽³⁾の家で、玄関も座敷もない家の中を、仕事場にして伯父は大

​父(私の父と妻の父)1

​P28

【注釈】

​3)板葺き(いたぶき):日本の伝統的な建築様式で、木の板を重ねて屋根を覆っている。主に杉やヒノキが使われ、シンプルで自然と調和したデザインが特徴。

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