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きながら、家族をてこずらしている出征兵もあった。家族中でなだめすかしたり、脅したりして引きずって連れてくるのもあった。

 午後になってからの波止場の付近は、昂奮のるつぼと化した威があった。出征兵だけが小舟に乗って御用船に送られるのであったが、波止場から御用船までは二、三町そこそこの距離しかなかった。深い入江にもなっている港は、両岸の距離も呼べば答える位のもので、御用船がやっと回転し得る位の海面しかなかった。御用船を中心にして両岸の

​日露戦争の思い出1

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