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遊んだりするには、最上の場所であった。岡の頂上には、一本の古い松の木があり、その松の木の根元には、形はかりの地蔵さんが祀ってあった。岡の上は、全部、芝生でおおわれていたが、下の方の畑との境に近いところには、ところどころに、山ツツジ⁽¹⁾の古株があって、その枝には、蔓性の草が、はい登っていた。
もうすぐ彼岸のころの一日、私は一人でこの長徳寺山に、凧あげに行った。山の上には、まだ誰もきていなかった。南国のこの島には、もう春の気温が感ぜられたが、凧のあがり具合は好調と
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