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に帰り、そこでも何も語らず、3回の寝室に行ってやすんだ。
平素、お互いに強がりばかり語り合い、弱さを助けて強きをくじく、騎士のような気持ちを、誇示しあっていた二人であっただけに、その面前で、演ぜられたあの黙視できぬはずの活劇を、拱手傍観⁽³⁾していたことについて、お互いに決まりの悪いことはなはだしく、そのため私らは、白髪の老人になるまで、一回もあのことに対する、弁解を述べたことはなかった。そのKは、去年、この世を去った。臆病な、卑怯者と、私らは自らを心の内では、ののしっていたのである。
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