美女伝 第二
私が生涯の中に忘れ得ぬ第二の美女にめぐりあったのは、対馬の厳原の港の入口を少し入りかけたところの、海上の小舟の上であった。
その日、私は友人四、五人とともに、厳原の港外を、少し南方に行った、磯の付近の海上で、終日、魚を釣ったのであるが、あまり釣れなかった。夕方近くになったので、港町の内に帰る途中でのことである。私の舟を追っかけるように、同じ方向から、やはり一般の小舟が近づいてきた。たくましい二十ばかりの青年と、その妹
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