忘れ得ぬ美女伝 第一
私が少年のころから、何人かの美女に会って、心うたれた記憶は、心の奥に今もほのかに残っている。私が物心ついたころから、綺麗な人だと思いながら、何か心のときめきを覚えた第一の娘は、遠い親戚のものであった。壱岐の湯之本というその港町にある親戚の家は、私の母の父の妹すなわち母の叔母が嫁いで行った家で、この家には、私は小学時代から夏休みごとに、遊びに行っていた。その家の本家にあたる家の末の娘が、私の記憶に残ってい
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