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父が通訳をたのまれて行った、と母はそれを誇りにして、話していた。碁がとても上手だったとか、打網の名手だったとか、書が勝れていたので、どこどこの看板は、父が書いたのだとか、母はまったく父を敬服し切っていた。父は鄙⁽⁵⁾には珍しい、無上美男でもあった。父が母とともに住んでいたのは、精に十年足らずであったのである。私の姉と兄は、ともに顔立ちが、父によく似ているが、心や態度は、はるかに私が 、父に似ていると、祖母や母がいっていた。
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父が通訳をたのまれて行った、と母はそれを誇りにして、話していた。碁がとても上手だったとか、打網の名手だったとか、書が勝れていたので、どこどこの看板は、父が書いたのだとか、母はまったく父を敬服し切っていた。父は鄙⁽⁵⁾には珍しい、無上美男でもあった。父が母とともに住んでいたのは、精に十年足らずであったのである。私の姉と兄は、ともに顔立ちが、父によく似ているが、心や態度は、はるかに私が 、父に似ていると、祖母や母がいっていた。