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手袋18.JPG

じて八年間ずっと登校の際や、人前に出る場合には、常に手袋をはめていたのです。

 一年中手袋をはめて学校に行くことは、ずいぶん苦労なことでした。その不便、不自由、不体裁、不快なことは、とうぜんですが、それも年齢が長ずるとともに、いよいよ不都合は増していきました。当時の毛筆画や、習字を書く時の、不便、不自由はもちろんです。教室で先生と生徒との間の、簡単な心のやりとりに、右の手を差し上げることは、今もそのころも、かわりありませんが、たくさんの元気な手の間に、五指の先の端のたれさがった手袋をはめた、手の存在が、どんなにいたいたしい、また異様なものであったか、想像しても、身が縮ま

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