美女伝 第三
高等学校の一年のころだったと思う。何の用事で行ったのが、青山三丁目から日比谷の方に来る都震の中であった。電車の中央に近い座席について、正面を見たとき、眼に入った娘が第三の忘れ得ない美女である。
その少女は、地味な私服を着ていた。その傍に同席していた、明らに彼女の父と思われる人も、私服であった。彼女の顔立ちが、常に綺麗であることも、私の心を惹きつけた一つの理由で
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